俳優・丸山晴生が
「チャレスポ!TOKYO」で
パラスポーツの魅力に触れる!
「チャレスポ!TOKYO」は、東京都と公益社団法人東京都障害者スポーツ協会が開催する参加体験型スポーツイベントです。障害のある人もない人もともにパラスポーツを楽しむことができるこのイベントに、自身も車いすユーザーで、「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」(NHK BSP)等に出演するなど、俳優として活躍中の丸山晴生さんが参加。初めて体験するパラリンピック競技やスポーツ・レクリエーションを楽しみました。
活気あふれる会場で楽しむ
パラリンピック競技やスポーツ・レクリエーション
1月20日(土)に東京体育館で開催された「チャレスポ!TOKYO」。会場では、車いすバスケットボールをはじめとするパラリンピック競技やデフリンピック競技、レクリエーションなど14の体験ブースが置かれたほか、パラアスリートやお笑い芸人によるステージ企画も実施され、多くの参加者で賑わいました。
今回イベントを体験した丸山さんは、6年前にバイクの事故で受傷し、車いすユーザーとなりました。現在は俳優として舞台や映画、テレビドラマに出演し、趣味の写真でも活躍の場を広げています。
事故前には大学のヨット部での活動のほか、ボルダリングや登山など、さまざまなスポーツに親しんでいたと言う丸山さん。最近も車いすでのウォーキングを楽しんでいるそうですが、「パラスポーツもいろいろ挑戦してみたいです!」とのこと。道具を用意する必要がなく、気軽に興味のある競技を体験できるこの「チャレスポ!TOKYO」は、そんな丸山さんにぴったりのイベントです。それでは早速、体験していきましょう。
競技用の車いすで
非日常の乗り心地を実感
最初にやってきたのは、「車椅子ハンドボール」の体験ブースです。4年後に控えたロサンゼルス・パラリンピックの正式種目採用を目指している車椅子ハンドボールは、性別や年齢、障害の有無に関わらず楽しむことができる、間口の広いスポーツでもあります。試合では、障害者または女性一人がコートに出場することが必要です。
使用するのは、ストップやターンの際の安全性が高い、専用の競技用車いす。体験ではパスやディフェンスを行ったのち、4分間のミニゲームを行いました。
「車いすが本当に軽くて、ちょっと触っただけでクルッと回っちゃいます」と、慣れない競技用車いすの操作に戸惑いながらも、巧みなチェアワークを見せる丸山さん。使用するボールは軟らかく、握力が少ない人でも持ちやすいのが特徴ですが、保持したまま移動するのはとても難しいそう。途中、体験者の小学生たちとも話しながら、和やかにゲームを楽しんでいました。
隣接していたのは、「パラトライアスロン」の体験ブース。健常者のトライアスロンと同様に、スイム・バイク・ランの3種目を連続で行い、肢体不自由の立位・車いす・視覚障害のカテゴリの選手が競技に挑みます。体験ブースでは車いすのランで使用される“レーサー”と呼ばれる競技用車いすの試乗体験を行っていました。軽くて丈夫なカーボン製のレーサーに乗った丸山さんは、「軽いだけじゃなくて、座り心地が普段の車いすと全然違いますね。いつも乗っているものはあくまでも座面にただ座っているという感覚なんですけど、これはキュッとシャープな乗り心地で、乗り物と一体になっている感じがあります」と話します。
ホイールに取り付けられたハンドリムを手で回すことで、レーサーは進んでいきます。さらに前方についている車輪を、車輪と繋がる「トラックレバー」を使って操作してコーナリングを行っていきます。
体験直後、丸山さんは「身体全体を使っている感じで、全身がとても暖まりました。少し走っただけでこの疲労感なので、実際の5kmを走るのはかなり体力が必要だと思います」と笑顔を見せていました。
気軽に取り組めるレクリエーションと
先端テクノロジーが凝縮したeスポーツ
次に向かったのは、プラスチック製のディスク(円盤)を回転させながら投げ、遠投力や正確さなどの技術を競う「フライングディスク」のブースです。競技では、3回投げたディスクのうち最も飛んだ記録を競う「ディスタンス」と、離れたゴールに向けて10回ディスクを投げ、通過した回数を競う「アキュラシー」があり、さらに体験ブースでは、ボウリングのピンのように並べられたペットボトルを投げたディスクで倒す「ペットボトル50本倒し」を行いました。
「結構ノーコンなので、ちゃんと投げられるか不安です」と不安そうな丸山さんでしたが、アキュラシーではほとんどすべてのディスクを通過させることに成功し、周りからも「筋が良いね」と声があがります。続くディスタンスと50本ペットボトル倒しも難なくこなし、短い時間に集中して参加することができました。「友達と集まってワイワイやるのも絶対楽しいと思います」と顔をほころばせていました。
続いて訪れたのは、「eスポーツ」のブース。さまざまなゲームの体験が行われているなかで、丸山さんが選んだのは目線でPKのゴールを狙うゲームです。
最初に、PC上に自身の視線(目の動き)を登録します。そして視線でボールを動かしながら、手に握ったボタンを押して狙った位置にシュートを打ちます。
普段からあまりゲームをする方ではないという丸山さんですが、「自分でもびっくりするくらい熱中しました!」と語るほど、楽しそうに取り組む様子が印象的でした。
トレーニングマシーンとVRで味わう
陸上での本格的なカヌー体験
最後に訪れたのは、「カヌー」の体験ブースです。水上200mでスプリントレースを行うカヌーには、カヤックとヴァーの2種目があり、それぞれを3つに分けた障害別のクラスで競います。
はじめに、カヌーを漕ぐイメージを体験しました。選手が陸上トレーニングで使用するトレーニングマシーンに乗り、腕でパドルを動かします。
選手たちは競技艇につける自分専用のシートをこのマシーンに装着し、フォームやバランスのとり方を確認します。タイムを出すためには前傾姿勢を取り、できるだけ前方にブレード(水掻き)を入れることが重要。協会の方々に支えてもらいながら前傾姿勢でのパドリングを体験した丸山さんは、「最初は少し怖かったですけど、身体を押さえてもらいながらやると力も入って、漕いでいる感覚を味わえました」と語っていました。
体験ではもう一つ、VRカヌーアプリを使い、実際に水上に出る感覚を味わいました。ゴーグルをかけると、眼前には鹿児島県の菱刈カヌー競技場と、香川県の府中湖の2つのコースが広がります。パドルの動きに連動して、VR上の競技艇も水上を進んでいく仕組み。体験後丸山さんは、「VRは見るだけというイメージが強かったのですが、腕の動きとリンクしているのが面白かったです。すごく臨場感もありました」と興奮気味に話していました。
約2時間で6つの体験ブースを周った丸山さん。
「パラスポーツは道具を揃えたり場所を用意する必要のある、ハードルが高いものだと思っていたんですけど、このイベントは身一つで参加できる気軽さがとてもよかったです。いろんな競技やレクリエーションの楽しさに触れられて、充実した時間を過ごせました。各ブース、体験の際にはどういうサポートが必要かもしっかり確認してくださったので、お手伝いもお願いしやすく、安心して体験に集中することができました」と、充実した表情で東京体育館を後にしました。
プロフィール
丸山晴生(まるやまはるき)
1995年、福岡県出身。
大学在学中のバイク事故で脊髄を損傷。胸から下が麻痺し、車椅子での生活を始める。
2023年 NHK BSプレミアム「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」に、車椅子ユーザーのカリスマ企業家・首藤颯斗役で出演。趣味は写真撮影。