パラスポーツスタートガイド

東京都障害者スポーツ大会オープン競技
障害の種別や程度を問わず、
誰もが楽しめるハンドサッカー

「ハンドサッカー」は、東京都の特別支援学校の体育の授業で考案された1チーム7人で行う団体競技です。ルールの工夫により、障害の程度を超えて参加できる種目となっています。2022年10月22日(土)、東京都立府中けやきの森学園にて開催された「第23回東京都障害者スポーツ大会 オープン競技 ハンドサッカー」に参加して、その魅力を探ってきました。

ゴールが2種類、得点方法が3種類

多くのパラスポーツは、障害の種類や程度によって、クラス分けがされていますが、ハンドサッカーは「障害を選ばないスポーツ」と呼ばれ、障害の種別や程度を問わず、誰もが一緒にプレーできるというのが最大の特徴です。チーム構成はゴールキーパー(GK)が1名、フィールドプレイヤー(F)が4名、スペシャルシューター(SS)が1名、ポイントゲッター(PG)が1名の7名1チームの構成です。なお、選手交代の人数に制限はありません。Fは障害の程度によって、ボールを保持できる時間が10秒、5秒、3秒に分類されます。

ゴールはメインゴールとサブゴールの2種類があり、3つの得点方法があるのもハンドサッカーならではの特徴です。一つ目の得点方法は、メインゴールへ直接シュートする方法です。これが決まった場合は3点が入ります。二つ目の得点方法はSSによるシュートです。SSにボールがわたると、シュート2本の権利を得られます。SSは自らが設定した課題(成功率が50パーセントになるようなシュート方法)でサブゴールに向かってシュートをします。決まれば1点が入ります(最大2点)。三つ目の得点方法はPGによる得点です。パスが通った段階で1点が入り、さらにPGがメインゴールに向かって、自ら設定した課題(成功率が50パーセントになるようなシュート方法)でシュートをして決まれば1点が入ります。

SS、PGのシュート方法は障害の程度によって様々です。距離の設定、ボールの大きさや種類はバラバラで、投げ方も、手で投げるのが難しい選手は、ボッチャのランプを使ったり、あるいは車椅子でボールを押すような形だったりと多種多様。自分が成功できるか失敗するか半々くらいの難易度で、課題を設定してチャレンジします。簡単すぎたのでは達成感を得られないので、確率50パーセントくらいの難易度の課題に挑むというわけです。試合時間は前後半5分ハーフで、より多くの得点をあげたチームが勝利となります。

下は11歳から上は67歳までが参加

「第23回東京都障害者スポーツ大会 オープン競技 ハンドサッカー」には、6チームが参加。全チームが障害のある方と障害のない方の混成チームで、参加者の年齢も下は11歳から上は67歳までと幅広く、誰もが楽しめるスポーツだということが感じられます。

会場となった東京都立府中けやきの森学園に通う、藤原凜さんと山口聡太さんは、日頃から体育の授業でハンドサッカーに親しんでいると言います。試合はこの日が初体験で、その感想を語ってくれました。

「最初はどうやって動いていいのかわからなかったけど、やっているうちにうまく動けるようになっていきました」(藤原凜さん)
「練習と違って、こんなスピードが速いんだ!と驚きました。でも、いろいろな人がいるからこういうルールなんだということもわかって、とても楽しかったです」(山口聡太さん)

また、ハンドサッカー経験が豊富な高橋健二さんは、その魅力をこう語ってくれました。

「SSやPGにパスが回ったときの喜びと、シュートが決まったときに一斉にみんなで喜べる感覚がハンドサッカーの魅力だと思います。自分たちのチームだけではなくて、相手チームのSSやPGにもシュートを決めてほしいですし、そういう気持ちになるのもハンドサッカーの特徴かもしれません。みんなで一丸となってやれるスポーツなので、もっと多くの人に競技を知ってもらいたいです」

チームメイトの特徴を理解してプレー

実際に試合に参加させてもらうことになり、1試合目はFとして出場。私は3秒キャッチの選手ということで、ボールを保持できる時間が短いため、なるべくチームメイトと近い距離にいるようにしました。いざ、試合が始まると思った以上にプレースピードが早く、最初は少し戸惑いました。

しかし、チームメイトの特徴を知ると、自分がどうやってプレーするべきかがわかってきます。まずは私自身が味方の視界に入る位置にいること。そして5秒タッチのプレイヤーは遠い距離のパスを出せるので、少し離れた位置にいてもいい。10秒タッチのプレイヤーは、ボールを持ってから動ける時間が長いので、動きやすい位置でパスを出してあげれば、ゴールやSS、PGの近くまで一気にボールを運べる。それぞれの特徴を理解してプレーすると、うまくボールが運べるようになっていきました。

みんなでボールをつないで、SS、PGにボールがわたると、それぞれが成功率50パーセントの課題に挑んでシュートをします。一生懸命に課題に取り組んでシュートが決まると、思わず駆け寄って一緒に喜ぶことができました。また、対戦チームの選手であっても、PGやSSが課題を乗り越えると、得点が入るので自然と拍手をしていました。

「障害を選ばないスポーツ」の名の通り、誰もが一緒にプレーできて、年齢も経験の有無も関係ありません。高橋さんの言葉にあるように一丸となれて、「とにかく楽しかった」というのが一番の感想です。障害があっても何かスポーツを始めてみたいという方、障害のある方と一緒にスポーツを楽しみたいという方はぜひ、日本ハンドサッカー協会のホームページをチェックしてみてください。

日本ハンドサッカー協会
https://handsoccer.jimdofree.com

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